「サピックスecoクラブ」の成功が示す環境教育に対するニーズの高まり

進学塾のSAPIXでは、小学五年生を対象にした環境教育講座「サピックスecoクラブ」を2004年度から実施。有料の選択制講座だが、受講生の数は毎年増えていき、昨年は5年生の生徒の4割にあたる約1800人の生徒が受講。今年はさらにその数字を上回る勢いだという。

「当社では、設立当初から受験のためだけの勉強ではなく、思考力や表現力の育成をはじめとして、真に必要な教育を提供するということを理念としています。そして、教育内容をさらに発展させるにあたり、現代の子どもたちにいちばん必要なものは何かと考えたときに、われわれが出した結論は環境教育だったんです」(サピックス環境科 渡邊司さん)

とは言っても、首都圏でも有数の進学塾である同社の講座となれば、やはり受験目的での受講が中心なのでは?という先入観をつい持ってしまうが、その効果を求めて講座の内容などにご意見やご質問を頂戴したことはない、と渡邊さんはいう。

「もちろん、受験でも環境問題はよく出題されるので、それを意識して受講させる保護者の方もなかにはいらっしゃるかもしれません。ただ、われわれがこの講座をレギュラー化したいちばんの理由は最初に受講した子どもたちの反応がとても良かったからです。それに毎年続けていくなかでわれわれが感じているのは、子どもたちも保護者の方々にも共通した環境教育自体に対するニーズの高さです」

ともすればブーム的な盛り上がりに流れつつある昨今のエコ状況にあって、こうした事例こそが地に足のついたエコ意識を広げていくことになるはずだ。

GREENSTYLE BOOK Vol.14よりGREENSTYLE事務局の許可を得て転載しています)