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◆ エコモチブックレビュー ◆
『環境倫理は「自然を大切にしよう」の論拠たり得るのか』
(堂前雅史 著 『情況』(情況出版)第3期 vol.7-6, pp.98-110.)
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「自然を大切にしよう」というテーマに対して、皆さんは「大切にすべき自然」
をどのようにイメージしますか。
熱帯雨林ですか。それとも、日本の太古昔から存在する屋久島の森ですか。
それとも沖縄に存在するサンゴ礁でできた海ですか。

 
環境倫理は『自然を大切にしよう』の論拠たり得るのか」という本の中で、
筆者は、自然に対して、「生身」として接するのか、「切り身」として接する
のかを問いかけています。

 
例えば、皆さんが森の中で生活をしており、森に生息する動物たちを身近に
感じることができればこれは、「生身」の関係となります。
また、都会に住んでおり、森の恵みを直接受けることができず、例えば加工
された材木を通じて森を感じる場合、自然とは「切り身」の関係になります。

 
都会に住む人が多くなった今の世の中に対して、筆者の堂前氏は、自らの足元
の都市の環境を自然環境として捉え直し、ひっそり暮らす生物を発見し、共生
を試みることが本当に大切なのではないかと、問題提起しています。

 
都会に住んでいても、道路の脇には、コンクリートにも負けない、タンポポを
眼にすることがあります。また、その脇には、働きアリたちがせっせと巣を
作っている光栄を目にします。私たちは、その小さな生物の視点に立って、
「たんぽぽは、この環境で快適かな。
ありくん、あなたたちは、うまく生活できているのかい。」と問いかけてみる
必要があるのではないでしょうか。
そうすることで私たちは自然と「生身」の関係を築くことができ、自然を大切
にするために行なうべき行動が見えてくるはずです。