財団法人オイスカ インドネシア、ミャンマーにおける国際機関との連携
2010.07.22
オイスカ インドネシア、ミャンマーにおける国際機関との連携
2010年6月24日(木)、エコモチ支援先団体である財団法人オイスカ様のインドネシア、ミャンマーでの活動報告会に行ってきました。
オイスカ様は農村開発や人材育成支援、植林などを行っている団体です。
今回の報告会では、国際機関との連携による支援についての事例発表でした。現地で支援活動を行っている木附文化様、斉藤祐子様から貴重なお話を聞くことができました。
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①インドネシア アジア開発銀行との連携 木附文化様
インドネシアのスマトラ島ナングロ・アチェ・ダルサラーム州(以下アチェ)という地域で支援活動を行っています。ここは2004年に発生したスマトラ島沖地震の震源地に近く、最も深刻な被害を受けた地域です。オイスカでは2007年、アジア開発銀行の貧困削減日本基金による「持続可能な生計開発」をテーマとしたプロジェクトを開始しました。
プロジェクトでは主に地域のNGO、共同体、漁民グループなどを巻き込んだ小規模プロジェクトを起こし、それぞれに実施を任せる体制を採用しました。今まで42の村で、合計2041の家族(106グループ)を対象に、70の小規模プロジェクトを実施してきました。例えば以下のようなプロジェクトがあります。
1.堆肥作り販売プロジェクト
有機農業への関心の高まりから、農家の主婦が近隣の有機物を集めて材料として堆肥を作るようになりました。今まで捨てていた家畜の糞尿や藁、草などが材料なので、材料費はほとんどかからず、生産した堆肥の販売がかなりの副収入になっています。また、この堆肥を使った有機野菜作りを行うことにより、一年間に5回ほど作物の収穫ができるようになりました。
2.ソフトシェルクラブの出荷・販売
これまでごく一部の漁民しか行っていなかったソフトシェルクラブ(脱皮したての柔らかいカニ)の出荷を推進しました。これが近辺のマーケットで比較的高値で売れるようになりました。加えて、ミルクフィッシュ、ナマズ、グルーパー、テラピア、エビなどの零細養殖業者に対して生産販売支援を行うとともに、マングローブを植えて、その中で養殖する方法などの技術指導もしています。
②ミャンマー WFP(国連世界食糧計画)との連携 斉藤祐子様
ミャンマーのマグウェイ管区パコック県エサジョ郡にあるオイスカ・ミャンマー農林業
研修センターの周辺の村で、2005年からWFP(国連世界食糧計画)と提携して食糧支援
プログラムを実施しています。これは、同地域の中でも特に貧困層住民の多い村々を対象
としており、村のインフラ整備や研修などの活動に参加すると、米の供給が受けられるというもので、活動の実施は、オイスカが担当し、米はWFPから支給されています。
1.Food for work(FFW)
地域住民の参加により、村道の整備やため池の拡大、学校の修繕など、地域における経済活動や生活・教育環境の向上を目指した活動を行っています。
また、緑化や薪炭林の再生を目的として村単位の植林活動も実施し、これまでに42010本の木を植林しました。こうした活動への参加により、食糧が供給されます。
2.Food for training(FFT)
地域住民の生計活動向上を目指し、オイスカ研修センターで指導している有機農業や養豚の研修を行っています。また、女性を対象に、環境と衛生についての研修も行っています。1回の参加につき、3kgの米が支給されます。
3.Food for Education(FFE)
家業の手伝いの為に、学校へ通えない子供達の就学機会を促すために、1ヵ月の出席率を80%以上満たした小学校児童を対象に食糧支援を行っています。1ヶ月で、約10kgの米が支給されます。
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以上の報告がお2人から行われ、現地の様子を聞くことができました。アチェの支援では今まで成功している産業をそのまま活かす事業を主体にしているそうで、住民が取り組みやすく、かつ継続しやすい活動であると思いました。また、ミャンマーの食料供給と支援事業を結びつけた取組みは、住民の参加の促進にもつながり、画期的な支援の形だと感じました。
オイスカでは、エコモチで支援している「子どもの森」計画以外にもこのような国際機関と連携した事業も行われています。
ぜひホームページもご覧ください。
財団法人オイスカ http://www.oisca.org/