前回はエシカルという言葉の定義についてお伝えしましたが、今回は欧米でエシカルの取り組みが注目されている「ファッション」の分野についてお伝えします。

(第1回目の記事はこちら エシカル特集第1回 エシカルって何?
 http://www.ecomoti.jp/news/?p=170)

 2009年3月5日、GEIC(地球環境パートナーシッププラザ)で行われた「エシカルを着る」というテーマのセミナーに参加してきました。スピーカーはオーガニックコットン衣料の生産・販売を行っている株式会社アバンティ代表の渡邉智恵子氏、児童労働問題に取り組む特定非営利活動法人ACEの白木朋子氏でした。

 
【綿製品の現状と問題】
みなさん、身近な綿製品がどのように作られているか考えたことはありますか。
一般的な綿製品ができるまでには大きな2つの問題があります。

まず1つ目は綿花の栽培や製品化の時の農薬・化学薬品の利用です。
渡邉氏から聞いたお話によると、綿の栽培には世界で使われている農薬の10%が使われており、Tシャツ1枚の綿花を栽培するのに150gの化学薬品が使われているといわれています。綿の栽培では農薬・化学肥料・除草剤が使われ、生地への加工の段階でも綿の油分をとるための化学薬品や着色料、柔軟剤などが使われているそうです。一見ナチュラルなイメージの綿製品ですが、実はこのような工程を経て私たちの元へ届いています。

綿製品をめぐる問題の2つ目は綿の生産者たちの貧困問題です。
綿花を作る農民たちはまず、種子や農薬など栽培に必要なコストをまかなうために借金をします。しかし綿花の栽培は自然条件に左右され、想定した収入が得られないこともあり、収入が安定せず100%借金を返せるとは限りません。また、先進国で生産されている綿花のうち、90%は遺伝子組み換えのものです。遺伝子組み換えの綿は人工的に授粉する必要があり、たくさんの労働力を必要とするため、安い賃金で雇える、10歳前後の子どもたちが授粉作業に駆り出されています。
 白木氏のお話によると、このような子どもたちの家庭は貧困家庭が多く、日雇い労働に依存している状況です。また、親が病気や障害を持っているなどの理由で働けなかったり、借金をしてしまったために、その返済のために子どもが働かざるを得ない場合が多いそうです。

【企業の問題把握と、消費者が製造過程に対して意識を向けることが大切】
 このような問題は、綿の生産地から遠く離れた日本に住む私たちは普通に暮らしていたら絶対見えないことだと白木氏はおっしゃっていました。製品の裏側にある児童労働のような問題は物理的な距離が遠く目に見えにくいため、意識されることは少ないのです。ですから、まずは製品を作る側がそのような問題に目を向け、問題が起きていないかどうかを把握することが重要です。
また、様々なものを買っている私たちがその製品の製造工程に目を向け、エシカルなものを支持することが企業を動かすことにつながります。そして、消費者がエシカルな選択をするためには製品を作る側が製造過程の情報を消費者に公開していかなければなりません。
生産地から離れた日本だからこそ、エシカル・コンシューマーやエシカル・カンパニーを増やしていくことが大切です。

株式会社アバンティ
http://www.avantijapan.co.jp/
特定非営利活動法人ACE
http://acejapan.org/